事例CASE STUDIES

独立系、滞在型“ホテルコンドミニアム”の開業

~ビジネスプラン策定からオペレーション構築まで、ホテル開業を主導~

背景

国内有数のリゾート地に、全室キッチンとバルコニー付のスイート仕様で新たに開業するプレミアム・ホテルコンドミニアムNにおいて、運営に関わるすべての開業準備活動に従事し、コンセプトや販売戦略、ならびに、オペレーションの構築を行いました。その結果、開業後一ヶ月半後の旧正月期間には、ほぼ満室稼働を達成すると同時に、国内外のゲストからスタッフのサービスに対する高い満足度を得ること1に成功しています。

アビリタス ホスピタリティが提供した開業支援は以下の通りです。

プレミアム・ホテルコンドミニアムNへの開業支援内容

開業準備

アビリタスでは各分野のスペシャリストからなるタスクフォースチームを編成し、開業に向けたスケジュールを策定。開業まで3ヶ月という短期間だったため、オーナーと協働の上、まずは開業に必要な機器や備品等、物理面での準備に着手しました。

開業準備スケジュール

具体的には、PMS2、POS3、PBX4などの各種システムや必要機器類をリストアップし、このホテルの特性を踏まえたスペックの比較検討、選定、設置場所の検証、契約締結、導入までをトータルサポートしました。また、同時進行で、販売戦略の構築と販売活動、営業に必要となる許認可の取得、人員計画策定とリクルーティングを遂行しました。建物の改装が進む中、短期間での開業準備となりましたが、複数のホテル開業経験を持つタスクフォースチームの効率的なプロジェクト管理により、運営に必要な体制を整えました。

ビジネスプラン策定

国内の他リゾート地と比較しても格段に高い外国人比率を持つことや、リゾート地特有の年間ビジネスの繁閑差が大きいことは既知しており、その上で各種データ分析を元に他施設との差別化要因を取り入れたホテルコンセプトを確立し、ビジネスプラン策定支援を行いました。

コンセプトキーワード

具体的には、周辺エリアの中でも大規模開発をまぬがれた昔のままの美しい景観、著名建築家デザインによる改修エリアの斬新でありつつ木を多用し落ち着いた雰囲気を生かしたプライベート感覚、貸別荘・コテージを除くとこのエリアのホテルでは唯一、全室にキッチンを完備していることなどから、長期滞在ニーズに積極的に取り組んでいくことを戦略の主軸に定め、“自然感”、“静寂感”、“風土感”、“安堵感”をホテルプロダクトのキーワードに設定したコンセプトづくりを行いました。

データ分析とマーケティングプラン作成

ビジネスプラン策定プロセスにおいては、国内外ゲストの地域別予測、利用形態やニーズの想定などから、初年度の日別収入予測を作成し、販売促進アクションプランを含む包括的なマーケティングプランと併せた中期収支計画策定の支援を行いました。アビリタスは、さまざまな要因を考慮した現実的なビジネスプランをつくることが、開業後の効率的かつ効果的なPDCA5サイクルに繋がると考えており、ホテル現場でのマネジメントおよびオペレーション経験が豊富なスタッフが携わり、机上論(理想論)に留まらない実用的なホテルの計画づくりを心がけています。

オペレーション構築

ホテル運営の仕組みづくりにおいては、ホテルコンドミニアムとしての便利さ・滞在の自由度を生かしつつ、ローカルな雰囲気の中で湯治のようなスローライフを楽しんでいただくためのサービス構築をサポートしました。ベースとして行ったのは、ペルソナの設定です。数パターンのユーザーモデル別滞在ストーリーを描き、ゲストのさまざまなご要望を前もってスタッフ間で具体的にイメージすることで、商品造成やサービス内容の検証、必要な情報収集、個別の滞在提案に役立てました。

ペルソナストーリー

また、香港・オーストラリアを中心とする外国人ゲストも多く想定されることから、外国人の方も安心して過ごせるよう、観光協会とも密なコミュニケーションをとり、地域に点在する施設やアクティビティの多言語資料を多く揃え、きめ細やかなローカル情報の提供を心がけています。また、滞在客のために、地元のフレッシュな食材をパッケージにし、ご到着前にオーダーしていただければ、あらかじめ冷蔵庫の中に用意しておく有料サービスも、キッチンを備えたホテルコンドミニアムならではです。レストランは、長期滞在でも飽きないよう、和風からアジアン、アメリカンと幅広いレパートリーを揃えるなど、ゲストがお好みのスタイルで滞在できるスタイルを目指しました。

また、業務をマルチタスク化することで、ゲストとスタッフの接点が増え、ゲストとのリレーションづくりにつなげると同時に、経営的には人件費抑制を実現しています。

  • TripAdvisorでの評価において当該地区1位を継続して獲得(2013年10月現在)。具体的なコメント/エピソードとしては、当該リゾートエリアのみならず県全体の観光情報を懇切丁寧に教えてもらったというものや、あまりに快適だったのでその後の他地域周遊旅行をキャンセルされて3泊延泊された方、お忘れになった貴重品を空港まで届けた際に泣いて喜んでくださったゲスト、などスタッフのサービスについて高い評価をいただいています。
  • Property Management Systemの略で、ホテルのフロント業務や管理業務のためのシステム。
  • Point of Salesの略で、料飲施設等で使われるシステム。
  • 電話交換機システム。
  • P(Plan – 目標設定・計画策定)、D(Do - 行動・実施)、C(Check - 経過検証・評価)、A(Action - 必要に応じて修正を加えて実行)の流れ

担当者より一言

数か月という短い開業準備期間でしたので、優先順位を決めて取り組みました。中でも心がけたのは、建築コンセプトやオーナーの想い、地域が期待することをいかに運営に反映させ、具現化するかということです。アビリタスの方針は個々の地域に合った管理・支援をすることですので、従来のホテルオペレーションをそのまま当てはめるのではなく、地域を知ること、ゲストの期待をより深く理解することからはじめ、ゼロベースで考えたサービスやビジネスプラン構築を行いました。

また、アビリタスではほとんどのスタッフが英語での運営管理や経理・法務サポート提供が可能なことも、海外からのゲストやインターナショナルなビジネスパートナーとのコミュニケーションに寄与し、短期間での開業を遂行できました。今後はさらに唯一無二のホテルとしてグローバルに認知されるよう運営管理のレベルを上げて行きたいと考えています。

ホテル経営・運営には多くの方々が関わりますが、それぞれ理解度・経験値・期待感が異なることを認識し、きめ細かいコミュニケーションに努め、オーナーとの目標を共有していくことがホテル開業をスムースに進める重要なポイントだと改めて感じました。開業後も引き続きホテル運営管理を行っていますが、オーナーならびにホテルスタッフにとって、安心できるパートナーとなるべく、マーケットを先見しながらのプロフェッショナルな対応を心がけています。

2016/02 制作